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平成29年11月22日議事録

特定非営利活動法人キッズドア理事長 渡辺由美子 様 講演 

皆様,本日はこのようなお忙しい時間帯に私どものお話を聞いていただけるということで本当にありがとうございます。改めましてNPO法人キッズドアの渡辺と申します。本当にロータリークラブ様には鳥居会長はじめ,皆様から大変なご支援を頂きまして,ありがとうございます。
私ども日本の子どもの貧困と言うことで,ようやく今少しこちらの課題の方を社会の中で認識されて参りましたが,2007年に団体を立ち上げて,当時からずっと日本の子供の貧困と言いますか,低所得でなかなか大変なお子さん達の支援というのをして参りました。そう言うことで今日はですね,少し,日本と子供の貧困,そうは言ってもどこにそんな子供がいるの?という風な声もたくさんお聞きしますので,そういった実態と私どもがやっている学習支援。なぜこういうことが必要なのかという風なことをお話しさせていただければと思います。
まずここにありますのが貧困の連鎖と言うことで,非常に日本の特徴を表している図になります【図1参照】。

何かと言いますと,親の収入が少ないと十分な教育を子供たちが受けられないために進学や就職で不利になって子供達も収入の高い職につけない,と言うことで子供の世代も貧困になってしまうと言うことで,親の収入の格差が子供に連鎖をしていくと言うことですね。これが非常に日本の特徴的なことです。なぜかと言いますと,日本では子育てと教育に非常に親のお金がかかる構造になっておりまして,このように親の負担がかかる国というのはあまりなくてですね,親の経済状況がダイレクトに子供達にかかると言うことです。
皆さんおわかりのように,本来子供というのは親を選んで生まれてくるわけではないので,自分はお金持ちの家に生まれたいとか,自分は中ぐらいでいいとか,そういうわけではないので,本来どんな家庭に生まれた子でも平等なチャンスがあって,頑張れば,それがこう自分が頑張った分だけ成長していけるという風なことが正しい社会の有り様かと思うんですけれども,残念ながら今現在日本ではそのようになっていないということです。
この貧困の連鎖というのが何が良くないかと言いますと,結局これがずっと続いてしまいますと,生まれた時にはウチは貧乏だから大学も行けないし所詮どうしようもない人生だからって言って努力をしなくなるわけですよね。どうせもう母子家庭になっちゃったからって言って,きっと大学にも行けないしって言って,もういいやって言って,投げやりになってしまうという風なことで,それで子供達が本来持っている力を活かせないという風な状況です。
家庭の方で見ればそうですし,もう少し大きな視点で見ますと,難しい言葉で言うと『階層の固着化』と言うらしいんですけれども,お金持ちのところから,経済的に余裕のあるところから下の層までずっとこうピラミッドであるところで,ではこの下にいる方々たちと言うのが,どんだけ頑張ってもなかなか上に行くことができないという風なことになっていきますね。そうなるとやはり頑張るのがバカらしくなるので,非常によろしくない状態になると。
例えば今世界の脅威は何かと言うと実は国と国との競争,戦争ではなくて,世界の脅威というのはテロ行為ですよね。色んな所でテロが起こっていて。じゃあそのテロの原因は何なんだと見ていくと,まさに『階層の固着化』で下にいる人達が自分達どうやってもしょうがないという風になると非常に暴力的な自爆ですとか,そういったところに配置して行くと言うことで,実は国連がやっているSDGs(エスディージーズ)という,持続可能な社会に向けての開発目標というところでも,32の目標の一番最初に貧困が入っていたりとかですね,その他にも教育とか格差という風なことを直していこうと言っているように,これが一子供の,かわいそうだねという話ではなくて,実は非常に大きなことにつながっていると,いう風なことで今日本の政府もだいぶ力を入れてきてくださってます。【図2参照】

これ簡単に私どもの団体の説明なんですけれども,2007年にキッズドアというのを立ち上げました。当時は本当に私と今副理事をやっている肘井という二人でやっていたんですけれども。実はですね,日本では日本の子どもの貧困というのは非常に新しい課題でして,日本の子どもの貧困率というのを厚生労働省が正式に出したのは2009年なんですね。どういうことかと言いますと,日本はずっと戦後,右肩上がりの経済がずっと続いてきておりまして,1億総活躍という風なイメージが非常に強かったので日本の中には貧困はないと,ごく一部,ホームレスとか生活保護の方はいるにしても,日本のどっかには貧困があるという風には思われていなかったんですね。私たちもそう思っていませんでした。私も幸いまだ離婚もしておりませんし,ウチの主人もしっかりと今頃勤めてくださっているので,私もそんなに自分はあんまり経済的にはそんなに大変じゃなかったので,自分がこういうことをやるまでは本当にこんな大変な子がいるとは思ってなかったですし,私がそもそも活動を始めたのは自分の子供がもう大きくなって,大学生なんですけれども,自分の子供が小学校に入った時に非常に母子家庭のお母さんが苦労されているのとか,母子家庭のお子さんたちがなんにもできないなとかいうようなことを感じたりだとかですね。もう一つはその前に,主人の仕事の都合でイギリスに一年間生活することがありまして,そこに子供を連れて行った時に,皆さんご存知のようにイギリスも非常に格差のある社会で。問題も。お金持ちの方は,ウチのクラスメイトのお友達の家も,「どうぞ遊びに来てください。」と言われたので遊びに行って,車を運転して「ここだなあ。」と思いながら入っていくと,もう入ってから家に着くまでちょっと車で入るような,家にですね,川沿いに家があるんですけれども,そこにボートの係留場があって,「渡辺さん。週末に車でロンドンに飲みに行くと飲酒運転で捕まるんだけど,ボートはね,飲酒運転ないのよ。」なんて言われてですね。「そうなんですね。」とか思いながらそういう風なお家もあれば,本当にこの人は大変なんだろうなっていうのがですね。送り迎え,イギリスは親がしなきゃいけないんで,毎日顔合わせるんですけれども。本当にお母さんが一年中同じお洋服を着ていらして,汗かかないというのもありますけど,冬は黒いロングスカートに。夏は黒色のスカートに白いブラウス。で,冬になるとそれにコートを羽織るだけということで,一年中お洋服が変わらないような。お買い物しているのを見ても大変そうだなっていうようなお家があったんですけども。イギリス,本当に子育てに,私が行ったサリー州というところは,非常に,ブレア首相だったこともあってですね,非常に子育てにいろんなことがあって,とにかく学校教育を受けるのにお金一切かからないという風なことで,格差がない状況だったんですね。それがまあ日本に帰ってきて非常に色んな所にお金がかかると。うちの息子もそんなに出来は良くないんですけども,一生懸命スイミングスクールに入れたりですね。英語,せっかくだからって英語習わせたりとかして,いろんなお金がかかる。出せる家はいいけど,出せない家は大変だなあと思いながらいて,大変なお家があるというので始めました。
ただそんなことで2007年に団体を立ち上げたんですけれども,当時は本当に色んな所で活動してもらおうと思ってですね,いろんな場に行っては一生懸命名刺を配ったりとかして,「キッズドアと言って,子供の支援をしている団体です。」と言うと,皆さんまず次に言うのが「あーそうですか。キッズドアさん。どこの国をやっているんですか?」って言われるんですね。「アジアですか?」「アフリカですか?」「フィリピンですか?」とかって。「ケニアですか?」って言われて,「いえいえ,私たちは日本の子供をやろうと思っているんですよ。」と言うと「え?」って。「日本にはそんな貧困な子なんていないでしょう。」って。「でも,結構いるんですよ。」みたいに言っても「いやいや日本にはいないですよ。」ていう風な状況でした。
で,変わったのが,2009年にリーマンショックが起こりまして,その時に要は,その前に雇用の流動化が起こって,それまでは皆正社員になってたんだけれども,雇用形態が変わって非正規とか契約とかになってた若い人たちがバサバサと切られて,それこそ住む所もなくなって,さまよい歩くみたいなこととかになって,年末に家がないので年越し派遣村というのが出来て,そこに人がたくさん溢れて,配給のお雑煮を食べてるみたいな姿を見た時に,「これが今の日本の社会なのか。」ということで,ちょっと見方が変わりました。
子供の世界でいくと無保険の子供達と言ってですね。日本は皆保険,国民皆保険で非常に医療に恵まれていると思われているんですけれども,実は国民健康保険ですね。会社員じゃなくて自営業の方とかパートの方とか,要は自分で保険を掛けるんですけれども,保険料が高いので結局滞納したりとかして掛けてないと保険証が貰えないんですよね。親は我慢できるけれども,子供が熱出したりとかしたら病院に連れて行きたいと。保険証がないから役所に「保険証を出してくれ。」と言ったら,「あなたは保険料を納めていないから出せません。」と言われて。保険証がないと1回行くと,お医者さんって本当に1万2~3000円掛かるので,そのお金が。お金がない人達ですから,そのお金もないので,結局その要は役所の人に「うちの子が死んだら,あなたのせいだからね。」と言って泣く泣く帰るみたいな様子がテレビで流れて。それはさすがに厚生労働省がすぐ動いて,子供に関しては保険料が納付されていなくても仮保険証というようなものを発給するってなったんですけど,要はそこらへんから日本の中にも大変な人がいて,子供達にも大変なことが起こっているという風なことが出てきました。そんな中で私たちは子供達に勉強を教えるという風な活動をしています。【図3及び4参照】

では少し子供の貧困についてお話ししますと,最新の子どもの貧困率というのが13.9%で,およそ7人に1人が子どもの貧困です。2ヶ月ぐらい前に出た最新のもので,その前は本当に16.3%で6人に1人が貧困と言われていました。少し景気が良くなったりとか,政府の対策がちょっとずつ進んだので改善はされています。ただ,まだまだこれは高い数値でOECDの先進国の平均は13.3%ですからそれよりも高いですし,OECDと言っても色々な国がありますので,トルコとか潰れそうになったギリシャとか,そういう風な所があるので,いわゆるG7とか,G4とかっていう所でいくと,日本はアメリカに次いで高いんです。アメリカはどうしても移民の問題ですとか色々あって,ずっと子どもの貧困率が高くてですね,それをどうするかと言うとこで戦ってきた国なんですけども。日本はずっとこう,わからないままに蓋がされていて,開けてみたらいきなりとても高かったという風なことで非常に驚かれているということです。
もう一つ日本の子どもの貧困でいきますと,ひとり親家庭。日本ではこの8割以上が母子家庭なので,母子家庭なんですけれども。非常にひとり親家庭の貧困率が高いということが日本の特徴です。これはOECD加盟国34カ国中でも最悪の数字ですね。一番子供の貧困率が高い。
もう一つ特徴的なことがありまして。そうは言っても実は日本のひとり親家庭の親御さんは非常に働いているんです。就労率も80%を超えていて,実は世界で一番働いている,ひとり親なんです。世界で一番働いているのに,世界で一番貧困率が高いと言う,非常に不思議な状況になっています。なぜかと言うと,これは長らく続いてきた女性の就労行動の問題で,要は子供を産む時に正社員だったのを一旦辞めて,子育てに専念をして,ちょっと手が離れてから復職するんですけども,その時にはやはり正社員にはなれないのでパートの仕事をすると。女性はどうしてもパートの仕事,子育て中の女性はパートの仕事という風なことが非常に長く続いてきたので,結局母子家庭でお母さん一人で働かなくちゃいけなくても,なかなか正社員の職につけないんですね。なので女性の就労率80%ありますけど,その内訳見ると,正規の正社員の職に就いているのは46%ぐらいしかなくて,54%の方はパートの仕事でやってます。つまり,本当に休んだら来月給料減っちゃうみたいなことを心配しながら生活されている方が非常に多いという風なことですね。
これで,あともう一つ日本の特徴的なことでいくと,母子家庭でいえば,養育費の支払率が非常に悪い。離婚をしても養育費を受け取っているのが2割を切っているんですね。これは本当に世界の中でも非常に底辺の数字で,そういう中で非常に母子家庭の貧困というのは。【図5参照】

じゃあっていうことで,貧困ってどういうことなの?と。先進国の中でと言いますと。貧困というのには,二つの尺度がありまして,『絶対的貧困』と『相対的貧困』というものがあります。『絶対的貧困』というのは,本当にあの皆さんイメージしやすい,アジアとかアフリカで本当に食べるものがないだとか,医療にアクセスできなくて,赤ちゃんが死んじゃうみたいな国で,1日1.9ドル以下の収入で暮らす子たちという風なことが『絶対的貧困』と言われています。ただそうではなくても,先進国の中でも貧困はあるよねという風なことで言われた時に,要はどうやって測るかというとですね。その国の所得の一番低い所。もちろんゼロ円なんですけども。ゼロ円から国民の所得をずらって並べるんですね。ずっと高いところまで。平均をとると,非常に高い方,皆さんみたいに高い方たちがいっぱいいらっしゃってなかなか平均が高くなるので。ではなくて,中央値と言う,その国の国民の真ん中の値というのを取りまして,それの半分未満の収入でやっているという風な方達が『相対的貧困』状況にあると言うことで,これは世界で決まっている尺度です。それでいきますと最新のでいくと,日本では一人だと122万円未満,二人だったら173万円未満,三人世帯だったら217万円未満,四人世帯だったら250万円未満。年収ですよこれ。月じゃなくて。これで1年12ヶ月暮らすような方たちです。本当に母子家庭で,お母さん一人で,子供二人育てていくという風なことで。
もう一つあってですね。本当に皆さん驚かれると思うんですけれども。これ未満ですから,大体みんなこれぐらいもらっているわけじゃないんです。貧困層の中ではこの方たちがトップなんですよね。皆さんそれ以下です。私たちの学習会にいらっしゃるお母さん達にお伺いすると,「だいたいどれくらいでやってるんですか?」とか聞くと,本当に,手取りでいくと,頑張っているんですけれど年収150万ぐらいしかないんです。それにいろんなちょっと手当とか少し収入が低いと出るので,それを足して何とかやってますって。だからやれないんですよね,それでアパート借りて,子供を育てるんですから。本当に大変でお母さんは本当に倒れそうになってるんですけど,実はそういう実態だったと。そういう方たちが7人に1人いるという風なことです。
本当にそうは言っても,今日本でお洋服とか,やろうと思えば安く手に入りますし,色んなものがあるので,見た目では本当に子供たち見てもわからないんです。ただ,一歩入れば,お家の中ではすごい貧しい食生活だったり,やっぱりお家が狭かったりとかしますし,本当にその周りの人が当たり前にできていることが,やっぱりお金がないとできないという風なことで,どんどん自己肯定感が下がっていきますね。
私たちがやっている学習会で,非常に,足立区さんという,貧困率がとても高い所で,エリアで,ご支援をさせて頂いてるんですけども。去年いた子で,「あぁ」って,スタッフから聞いて,「あぁ」って思ったんですけど,本当にあの,中学3年生の男の子だったんですけど,夏休みとか冬休みもずっと開けているので,結局どこにもおウチでは行かないので毎日来るわけですよね。だから,それだとねしょうがない,ずっとあの狭いところにいてもしょうがないからって言うので,どっかに連れて行こうと思って,どういう所に行きたいのかっていうのを子供に聞こうと思って。そのスタッフが中3生の男の子に聞いてみたら,「どこに行きたい?」って言ったら,「動物園に行きたい。」って言うから,「動物好きだったの?」って言って,「知らなかったよ。どんな動物が好きなの?」って聞いたら,そしたら,「行ったことないからわかんないんだよね。」って言ったという風なことで。色々なね,小学校の時に遠足で行くような子もいるんでしょうけども,たぶんその子は色んな?メグリ?の中で合わなかったんだと思うんですよ。本当にもうお母さん休みなく働いていますし,どっか連れて行くっていうのはやっぱりね,すぐに2~3000円掛かっちゃうので,それがないお家っていうのがあるんですよね。
結局そういう風なことで,その子もね,中学3年生になるまでね,まさか動物園に行ったことがないって友達にも言えないだろうから,色々ごまかしてきたんだろうなとか思うと,なかなか切ないんですけども。そういう風なことで,本当にもう,色んなことがお金がなくちゃできないので,別にお金がないことが悪いことではないんですけれども,お金がないためにいろんなことができなくなってしまって,非常に自信を失っているという風なことで,低所得の子供たちは自己肯定感が非常に低いんですけども,そういう風なことがつながっています。【図6参照】

もう少し詳しく見ていきますと,本当に子どもの貧困率13.9%です。例えばですね,母子家庭の平均年収。色んな手当とかを足しても平均243万円しかないんですね。児童のいる世帯。18歳以下の子供のいる世帯の年収っていうのは673万円なんですよ。こんなに高いのかとも思うんですけれども,やっぱりこれぐらいあると。どういうことかと言うと,クラス,小学校のクラスがあった時に大体みんなね,同じような生活ぶりだろうと思ってるんだけれども,実は30人のクラスがあれば,その中の4~5人は他のお友達よりも1/2以下ですよね。1/3よりちょっと多いぐらいの収入で,なんとかかんとかやっているという状況なので,みんなができることがだんだんできなくなるんですよね。
例えば,小さいうちだったら,お友達。新しいゲームが出たからってゲームをやりたいなって思ってるんですけど,「新しいゲームが出たから,今度みんなあれ買ってやろうぜ」って言って,「おー」って言って,他の子はみんなね,発売日に予約してもらって買えるんだけど,やっぱり自分はどうやってもお年玉まで待たないととか,お誕生日まで待たないと,それが手に入らないとかって言って。「何だお前持ってねぇのかよ。」と言われるとかですね。
例えば東京あたりだと小学校卒業する時に「じゃあ,みんな卒業記念に。」って言って,「クラスでディズニーランドに行こう。」みたいな,と言うようなことになるんですけども,ディズニーランド行くのにやっぱりどうやっても1万円ぐらい掛かっちゃいますよね,入場料と交通費と。やっぱりそれが,なかなか月12~3万円でやっている内の1万円って,お金がかかる3月なので出せないから,だからまあ嘘つくしかないんですよね。お金ないから行けないとは言えないので,「ごめん。その日はちょっとね,親戚が来て,どうしても行けないから。」って言って嘘をつかなきゃいけない。お金ないからって・・・?・・・嘘をつかなきゃいけない。・・・?・・・ダメなんだという風になったりだとかですね。
本当にこれが学力でいくと,ちょっと勉強がわからなくなったら,皆お友達が塾に行き始めたというところで自分も塾に行きたいんだけど,やっぱりお金がないから行けないんだと。高校受験で皆塾行っているけど,行って,自分勉強わからないから教わりたいけど塾行けないという風なことで,その自己肯定感が下がってしまうっていうのが特徴だと思います。さっきも申し上げたように,ひとり親家庭の子どもの貧困率が非常に高くてですね。これが本当に大変で,お母さん方8割以上が生活が非常に苦しいという風に言っている状況で,これは何とかしてあげたいなという風に思います。【図7参照】

もう一つがですね,貧困というのが,単にお金がなくて勉強できないというだけではなくて,色々な社会課題につながっていて。例えば虐待というのが今非常に増えていますけども,実は虐待の裏には貧困があると言われています。
虐待で例えば悲しいことにお子さんが亡くなっちゃったと。いう風な事件てのがありますけど,ニュースとか背景探っていくと,お母さんが非常に若くて,計算すると10代で産んだのかな?みたいなお母さんで,お父さんは実父ではなくてですね,ボーイフレンドとか内縁の夫とかそういう風な感じで,住んでるのもね,先ほどもちょっと,うらびれたアパートで洗濯物がチョロチョロ下がってたりとかして,生活ぶりも大変なのかなーという風なところで,大抵だからお母さんがしょうがないので夜の仕事に行っている間に,お父さんがなんかこう殴っちゃうみたいなことであるんですけども,そういうことも含め大分本当にあの,不幸にして亡くなっちゃうからニュースになりますけど,実はああいうリスク家庭はすごくたくさん日本にあるんだという風なことなんですよね。
例えば,今,児童養護施設,親が育てられない子供が入る児童養護施設ですけど,どういう人が入っているのかというとですね。親が死んじゃったとか両親共に事故で亡くなったみたいなケースは非常に少なくて。虐待で,虐待を受けて親と一緒に暮らせないから入るという人がほとんどです。ここに6割と書いてありますけど,東京の施設の方に聞くと,うちは8割がそうだよとか,そういう風なことです。虐待にも色々あって,暴力とか性とか色んな虐待ありますけれども,児童養護施設に入る虐待はどういうことかというと,一番多いのはネグレクトだそうです。要はご飯を食べさせてもらえないと,全然面倒見てもらえなくって,本当に寒空をふらふら歩いているところを保護されるとか。最近本当に切ないのはですね,大きくなった子が自分はもうこれじゃダメだからといって警察に保護を求めると。ご飯も食べさせてもらえないと。本当にどうしようもないからといって,というような例も増えているそうです。
本当に,私たち,以前は,児童養護施設の学習支援というのもさせていただいていて,行って勉強してるんですが,なかなか勉強はしないんですよね。子供は。なかなか勉強しないんですよ。その中でも特に本当になかなか手こずった子がいて,学習会が終わった後に施設の方と「いや,何々君はね,ちょっと厳しいですね。」みたいな。「なかなか勉強が。」みたいなことを言ったら,施設の職員の方が「まあでもね,この子は本当に今生きてここにいることが奇跡みたいなもんだから。ちょっと勉強するまでは,時間がかかるかもしれないね。」みたいなことをおっしゃっていたんですけども。そういう風なことで,本当に貧困ということは色んなことにくっついているという風なことがわかってきます。【図8参照】

もう一つが,本当に日本の特徴的なことで,低所得の子が非常に学力が低くなってしまいます。これがですね,小学校6年生の学力テスト。学校で,全国学力テストの調査の結果なんですけれども,一番下が年収1500万円以上ですから非常に年収が高いお家ですね。上に行くに従って年収がちょっとずつ減ってきて,一番上が年収200万円未満ですから,かなり厳しいお家です。見たときに,この緑とオレンジが算数と国語の点数なので,どういうことかと言うと,要は年収の高いお家の子は算数も国語も非常に点数が高く,だんだん低くなって,年収が低いってなると本当に点数も悪いという風なことで,親の年収と子供の学力が綺麗に比例をしているわけですね。これはおかしな話ですよね。知能指数の高い子が,お金持ちの家にばかり生まれるはずはないので,こんなに綺麗に紐づいてしまっていいはずはないんですけども,実態としてはこういう風な状況になっていると言うことです。【図9参照】

これは何故かと言いますと,いろんな理由があります。いろんな理由があるんですけれども,一つはですね,日本は非常に今まで教育に税金を投じていなかったと。要は親御さんが一生懸命自分の子供に教育を与えていたということですね。戦後ずっと右上がりできたので,なんとかかんとかそれでもやれてたんですけれども,非常に今経済が上がらなくなったところで,そういう中で上にいる方はね,できますけど,下にいる方たちがどうしようもなくなってきているという状況です。
これはOECD加盟国のGDPに占める教育機関への公的支出割合。要は税金をどれだけ使っているか,どういう風に使っているかという割合で,北欧の方はね,非常に福祉行き届いていて,教育も高いと言われているんですけど,非常に税金使っていて,OECDも平均で4.5なんですけれども,日本というのは本当にこの年は3.2ということで下から2番目ですね。実は最新の出たんですけど,今年は一番ビリでした。毎年ビリ争いをしてるんですね。教育支出が非常に少ないというのが日本の特徴です。
特にその中でも,日本の,じゃあ,その少ない教育のどこに使われてるかというと公立小中学校の義務教育に使われる部分が多いので,要は高校出た後ですよね。高等教育,大学とか専門学校とか,そこらへんが非常に親の負担が多いですし,もう一つ,幼稚園みたいな未就学児の教育ですね。保育園の方はいろんな補助があって低所得の方も行きやすいんですけども,幼児教育,幼稚園に行ったらそこら辺の負担がないということで,結局そこが大変だと,いう風になっていて,今,幼児教育の無償化とか高等教育の無償化というのが政府が言い始めているのは,実はこういう背景があって,そこのところはあまりにも今までやらなすぎたんじゃないかと,いう風なことになってます。【図10参照】

これで行きますと要はですね,日本では片や先ほど申し上げた非常に教育にお金がかかると,だからお金がある家は良いけれども,無い家はどうしても欠けがちだと,いうことですね。片や,じゃあどういう人たちが高い収入を得られるのかと言うと,これももう要はですね,かなり高度な社会になってきているので,やはり高学歴で良い方の方が安定して収入の高い職に就けますよね。
例えば大企業に入ろうと思ったら,大学に出てないとエントリーシートも出せないですよね。どんなに頭が良くてもやっぱり高校に,高卒だと入れない会社とか,できない仕事っていうのがあったりとかします。例えば学歴別の就業形態でいっても,やっぱり大卒の方が正社員になる比率が高くって,中学卒って高校中退とかそういう風な方だとなかなか正社員になるのは難しいですし,生涯獲得賃金で見ても大卒の正社員だったら平均して退職金・年金含めると生涯で3億ぐらい稼いで,正に税金も納めてくれるんですけれども,高校卒業だけで正社員になれなかったフリーターっていうと5540万,6倍ぐらいの差ですよね。でも本当フリーターの方って本当に増えないんですよ,年収が。最初が300万だったら,10年働いても300万のままなので,こうなっちゃうんですよね。この差があるので結局一度落ちてしまうと,なかなかそこから上がることが難しいという風なことで,これはどうにかしなきゃいけないと,いう風に思っています。【図11参照】

先ほど貧困の連鎖の・・・?・・・の,十分な教育を受けられないというところで。ここお金をたくさん出して教育を受けさせることは難しいんですけれども,無料の学習支援という風なことで,勉強をタダで教えてあげると,学習会をしてあげるという風なことをすれば高校の進学・就業率というのが増えて,ちゃんと希望を持って高等教育に進めるのではないかという風なことで私たちは無料の学習支援・教育支援をやっています。これ本当に後でちょっと動画を見ていただければと思うんですけど,非常にですね,学習支援というと本当に学校のイメージだとか,塾のイメージみたいな,非常に先生が厳しくやっているようなイメージあると思われるんですが,そうではなくて本当にこう暖かくですね,子供達とワイワイ楽しくやりながら,でも学力上がっていくという学習会をやっているんですけど。
本当に現場は良いんですけれども,なかなかこれだけ言っても,大きな流れにはならないので。よくお伝えしているのがですね,こうしたですね,本人にも言うんですけども,例えば大きな目でちょっと見てみると,この私たちが支援している子が実は何の支援もなかったです,と。そうすると本当に学力低いので高校に進学できないとか,そういう可能性が高いんですよね。どれぐらいかというと,中学3年生で九九ができない。私もこの仕事をするまでは,九九ができない中3生がいるとかって言っても,まさかって,ごく一部のね,特別な子でしょと思ってましたけど,そんなことはないですよね。本当に学習会に一人,一クラス20人ぐらいなんですけど,中に一人,二人はやっぱり6の段,7の段,8の段ぐらいになると,あやしいっていう子がいたりとかします。本当に-5+3みたいな,簡単な正負の計算もできないですし,中には5+7とかが即答できない。12?,13?,14?,12?みたいな風になるような,要はずっと勉強から離れてしまっている。学校にはちゃんと行っているんですけれども,そういう風な状況だったりする。なので,学習支援がないとなかなか高校に行くのはとても難しいんですよね。そういうので高校に進学できなかったとか,後は何とか夜間の定時制に入ったけど,結局続かなかったという風なことで,中退しちゃったりとかするとフリーターになる。若いうちはそれでもね,仕事していれば良いんですけれども,体を壊しちゃったらもうそれで終わりで,そこから収入が無くなるからって言うようなことで。こういう状況だと非常にその方を支援しなきゃいけなくなる可能性が高くなるんですね。生活保護を受けていただくだとか,色んな自立のための支援をするとかっていうことで,そこのコストって言うのが非常にかかってきます。なんだけれども,もしこれが学習会に来て,勉強を教えてもらって,楽しさとか高校入れて良かったです。大学生のボランティアにね,勉強教えてもらったら,大学全然行く気なかったけど楽しそうだから,ちょっと奨学金借りて行こうと思いますって言って,大学行きましたみたいな。で企業に入ってくれると本当に生涯賃金を稼いでくれる子になるんですよね。年金がなくても生涯賃金2億6千万ぐらい稼いで,その間納税3000万ぐらいしてくれるので,実は一人だけとっても,すごいプラスマイナス・・・?・・・あるんじゃないかと。やっぱり生活保護の方って医療費とか色々掛かるんで,ものすごい大変なんですよね。というようなことがわかってきました。
これが私達が本当に手計算でやってるんですけども,今色んな所が試算をしてくださってまして,・・・?・・・が色んな所でしっかりと試算をしたところ,例えば現在15歳という,高校受験の年ですね,その一学年を,だけでも,何の支援もしなければ経済的損失が2.9兆円あって,社会福祉費の増加が1.1兆円あるから,プラマイで4兆円ぐらい,国のお金が減っていくと。逆に言うとこれを支援をしていくと4兆円ぐらいプラスの効果があるから,やっぱりこれはやった方がいいのではないかと。いう風なことで,なので今いろいろ政府も動き始めているという風な状況です。【図12参照】

子供達の状況をちょっとお話しますと,これ私たちの学習会に来ている子供たちが呟いた言葉です。
「今日のお昼代予算100円」って。中3生の男の子がいったんですけれども,高校受験の勉強会というのを,ずっと2010年からやっていてですね。これ週に一回日曜日に無料で会場提供していただける所とかを探してですね,そこで中3生を集めて勉強教えているんですね。本当にさっきも申し上げたように非常に学力低いので,2~3時間やっても全然間に合わないですから,朝から晩までやるんですね。これからの時期は本当に。10時から5時までとか,ボランティアさんが一生懸命頑張って色々教えるんです。当然お昼がいるんですけど,お母さん,お仕事忙しかったりとか,土日も仕事されてるので,なかなかお弁当を作ってくれるお母さんというのがそんなに多くはなくて,そうは言っても大抵の場合300円とか500円とか持ってきて,それでコンビニでそれなりのものを買って食べるんですけど,この子はこの日今日予算100円だったんですよね。それは多分この子にとってはそんなに珍しいことではなかったんだと思うんですよ。恥ずかしげもなく,「今日の俺のお昼の予算100円なんだよね。」と言いながら出て行ったんですよね。でも100円で今何が買えるかって。消費税付いちゃうからおにぎり一個買えないですよね。どうするのかなあと思いながら,これでと言いながらどうするのかなあと思ったら,駄菓子を買ってくるんですよ。10円,20円の。コンビニで売っている,いわゆる,うまか棒とか餅太郎とかああいう駄菓子を100円で買えるだけ買って,それを食べてお昼が終わりなんですけども,当然お腹空いちゃって,午後の勉強なんかできないわけですよね。こうやって食べる物とかも大変なんだって言うことが私たちも初めてわかって。じゃあやっぱりおやつを出して,そういう子たちに,何かおやつ出しておやつ食べてもらおうとか。今はご希望する家庭に時々ですけどお米送ったりとか,食品の支援というのが日本でも必要なんだなということか初めてわかった,これが言葉でした。
次,「大学生って本当にいるんだ。」って言う。これはですね,中3生の子が言ったんですけれども。学習支援に来て,中学3年生の9月ぐらいに来て,高校受験大変になるのでと言うことで,頑張ろうと言って,これが今日から勉強を教えてくれる大学生だよって言ったら,そしたらなんとですねその子は「大学生って本当にいるんだ。」って言ったんですよね。どういうことかと言うと,要はその子は今まで生まれてきてずっと育つ環境で,大学生とか大学に行ったことのある人と会ったことがなかったんですよね。当然ご両親も大学行ってないです。変な話例えば二人とも高校中退とか,そういう風な・・・?・・・になりますよね。当然大学行ってないし,自分の親戚とかも,そういう風なことでいないので。大学っていうのは自分とは全く関係のない所だと思っていたわけですよね。全然自分が行くとは思ってないし,大学っていうのはどっちかといえば,大学生ってどっちかといえば,アイドルとか,スポーツ選手とかテレビで見るような,ああいう中に大学生というのがいて,自分が会うようなことはないだろうと思っていた。本当に目の前に大学生がいて,そうすると,もしかするとボランティアをしてくれる大学生が非常に真面目で,いい子がいるのに,そうするとこれが大学生だったら自分の方がちょっとイケてるんじゃないかなとか,自分もちょっと勉強すれば大学生になれるのかなって,初めてのそこで思って,大学って行けるかもみたいに,そこで初めてわかると。もしかしたらちょっと勉強してみた方がいいのかな,と思うわけですよね。それまでは全然勉強する意味も気力もわかないので勉強しないんですけど,そうやって初めて外の世界を知れるというか,そういう風なことで,逆に本当にすごく小さい狭い世界で生きてらっしゃると。
日本の子供の貧困は非常に孤立しているという風な事が問題にもなっているんですけども,本当に極端な例でいくとちゃんと話したことのある大人が自分の親と,ひとり親だったら例えば自分のお母さんと時々話す学校の先生,以上,みたいになっちゃうんですよ。要はお稽古とかもしないですし,スポーツ少年団とかもお金が掛かるし,お母さん遠出できないから行かないし。離婚をしてね,アレなので,実家にも帰ってくるなと。血縁とか地縁とかも切れますし,引っ越した時に引越するからそれまでのママ友とかもいなくなった中で,お母さんはすぐ働き始めるので,自分は誰も知らない中,ポツンとしてると,いう風なことで非常に孤立をしているって言うので,すごい狭い世界の中にいる子たちをどうしていくのかということは非常に大きな問題だということです。
次,「偏差値って何。」っていうこれもですね,本当に私たちもびっくりしたんですけど。これも高校受験生で,やっぱり10月頃に来たんですけど,「どこに行きたいの?」って,「もう志望校決まっているでしょ,10月だから。」って言ったら,「一応決まってます。」みたいな。「どこなの?」って言ったら,「ナニナニ高校に行きたいなあと思っているので。」と言って。偏差値45ぐらいの中堅どころの「まあまあ良い学校だよね。」って言って。「どうしてそこ行きたいの?」って言うと「先輩も行ってるし。」って言うし,「友達もそこに行くし,家からも近いし。」って言うから,「じゃあ頑張って勉強しようね。」って言ってやり始めると,おやおやちょっと待ってよ,となるわけですよ。要はやってみると-5+3が全然できないとか,単語一個もわかんないとかですね,英語本当に読めないと。アルファベットの小文字がまだしっかりと定着していない。LとMとNがわからない。ZとYとXって書けないみたいな状況なんですよ。「あれ?」って言って,「あれ?偏差値ってどれくらい?」って。普通はね,高校,志望校を決める時に模擬試験みたいなのを受けて自分は大体これぐらいだからここっていう風になると思って,当然知ってると思って聞いたら,「はっ?」て言われたんですよね。「え?」「試験を受けて数字,50とか40とか60とかもらったことない?」って「わかんない。」って言うんですよ。色々調べてみたら,本当に,昔は私が子供の時代というのは田舎の学校に行ってて,私は千葉だったんですけども,田舎の公立中学校に行っていても,それなりの時期になると皆土曜日とかに集められて,学校で全部試験を受けて,あなた偏差値これぐらいです。この学校だったら行ける,行けないとかっていう指導だったんですけど,今聞いたんです。日本全国たぶん,公立の学校ではやっていないと思いますけれども,外部テストというものは学校が一切止めてしまったので,塾に行く子は塾で受けるから偏差値がわかるんですよ。家庭教師がついてたりとか親がしっかりしてれば個人でも受けられる。ただ4500円ぐらいするんですけどね。個人で受ければ,模擬試験受けて,偏差値わかるんですけど,普通に公立の学校だけ行ってる子は要は偏差値がわからないんですね。だから行けない。みんな全然とんちんかんな所受けて落ちていく,って言うことが,こういうことが起こっていたのかという。私はびっくりして,皆ボランティアさんと一緒に「これはやばいね。」と言って,しょうがないから去年の過去問を解かせてですね。まあ何点ぐらい取れたからこれくらいかなと換算したりだとか,さっきの子はそういうことをして,今はだいぶもうわかってきたので,「一回でいいから受けてください。」とかって言って,1回受けさせてもらったりとかしてるんですけど,本当にそういう状況でした。
もう最後の「これって現実かなぁ。」っていうのは,これも本当に切ない話なんですけれども。これはすごいちっちゃいお子さんで,小学2年生の女の子がつぶやいた言葉です。何かって言うと母子生活支援施設と言ってですね,児童養護施設というのは親が育てられない子供が,お子さんが入る施設で,お子さんだけいるんですけれども,要は母子家庭でなかなか自立がすぐにはできないというご家庭を支援する福祉施設があるんですね。昔母子寮って呼ばれてたんですけれども。母子生活支援施設と言っていて,そういう施設があります。やっぱり色んな方が,例えば最近で多いのが,外国人のお母様で色んなことがあって離婚をされた時に,なかなか言葉がうまくいかないから仕事がすぐに見つからないとかっていう風なことで,そういう方に入っていただいて色んなことを準備して出て行っていただくみたいなことなんですけど。
DV被害を受けた方のシェルターみたいな機能もあるんですね。でここで,そこも非常になので,割と隠された施設なんですけど。私たちそこにも細々とですけど学習支援に行っていて。月一回とかなんですけどね。行くと子供が喜んでくれるので行ってて。ある時行った施設で12月なんですけれども,今月から新しいお子さんが入ったのでお願いしますって言って,小学2年生の女の子と未就,幼稚園に行ってれば年長さんの年齢の女の子の二人姉妹だったんですね。あーそうですか。じゃあ頑張りましょうって言って。で,まあ12月だったんで,勉強というのも,まあアレだからって言って,ちょっとクリスマスパーティーをやろうかという風なことをボランティアとスタッフ企画して,児童養護施設と違って子供もすごい少ないので,一回の学習会でせいぜい子供5~6人だし,スタッフも二人三人で行くので,非常にこじんまりとしたクリスマスパーティーです。だから本当に普通にお店で売っているホールのケーキを買って,ちょっとお菓子を買って,ジュースを買って,針金のハンガーでね,クリスマスリース作るみたいな工作したりとか,皆で歌ったりとかして,という風なパーティーをやったんですね。すごーくこうアットホームなこじんまりとしたのをやっていたら,途中で小学2年生の女の子がすっとその,友達の輪から離れて壁際に向かって行って,気になったスタッフが何だろうと思ってちょっとき聞きに近くに行ったら,壁に向かって「これって現実かなー。」って,小学2年生の女の子が呟いてたって言うんですよ。
どういうことかって言うと後でお伺いしたら,そのお子さんと言うのは,ずっとDV被害を受けて逃げて,逃げて,逃げてきて,ようやく施設に落ち着いたようなお子さんだったので,それまで普通のご家庭に育ってれば何回もやったであろう,要はお誕生日会とか保育園に行っていればやってるクリスマス会だとか,そういうことを1回もやったことがなかったんですよね。だからここに来て初めてやった時に,あまりにも楽しすぎて,それまでの過酷な,たかだか8歳ぐらいですけど過酷な人生とあまりにも違いすぎて,「これって現実かなー。」って呟いちゃったと言うんですけど。そういう子も日本にいるんだっていうことですよね。本当に色んなお子さん達がいますし,本当に私たちもやりながら,「ああそうか。」って思う日々です。【図13参照】

なぜその勉強が,学力が低下してしまうのかということを少しご説明しますと,要はですね。これも本当に問題はお金がなくて塾とか家庭教師とかそういうとこに行かせられないでしょと言う,それだけでは,教育費だけの問題ではなくてですね。要は生活環境だとか,本当にその親から受け継がれる文化環境だとか,そういったものが大きく影響しているという風なことがわかってきました。
例えばですね,家ですよね。すごく少ない収入の中で,アパートを借りなきゃいけないので当然とても狭いんですよね。だから子供の勉強部屋なんて,子供部屋なんていうのももちろんないですし,学習机がないっていうお家も珍しくないんです。だから家で唯一あるテーブルって言うと,ご飯を食べるテーブルなんですけど,それは要は2DKとかの唯一のリビングダイニングにあって,それも6畳とかなんで,テーブルの目の前にはテレビがあって,そこのテレビを他の家族が見ていると,いう中で,そこで受験勉強しましょうと言っても,まあそれはできないですよね。だからできないんだって言ってやらない。
去年の高校,高校生で大学に進学してくれたから良いんですけれども,高校生で見てた子がいて。スタッフが「渡辺さん。」って。「この子はどうしても受からせてあげたいですね。」「頑張ってるんですよ。」「あーそうなの。」と言ったら,「この子は家ではね,お盆で勉強してるんですよ。」と言って,「ええ?」って言ったら,家の中で唯一落ち着ける環境というと自分が寝るスペース,なのでベッドだか布団だかわからない,そこに入って,お盆を置いて,ヘッドホンをして,音を遮断して,そこで勉強していると。「そっかー,受かるといいね。」みたいな,そうだったりとか,去年来てた中学3年生の男の子でも,毎日江戸川区さんでやっている学習支援の授業で,曜日変わりで火曜日はここ,水曜日はここ,木曜日はここと,ずっと区内の施設を毎曜日,毎曜日場所を変えながらやっている所があるんですけど,大抵の子は家の近所の所に,その曜日に週1回来るとか,近場に週1回来るんですけど,週6日毎日,遠い所だと自転車50分ぐらい漕いで来る子がいて,「こんな遠い所まで来てくれてありがとうね。」みたいな風にして,色々話を聞いてみたら,その子は家で勉強しようと思うと膝の上しか広げられないと。多分ご飯食べるテーブルとかあると思うんですけど,ごちゃごちゃしてるんだと思うんですよね。なので家ではこうやって勉強するしかないから,なんか広げて書こうと思うと,ここに来た方がいいから勉強してると。そういうような環境で,非常に,なかなか家で,家で勉強したら,塾行けないんだったら,家で親が教えればいいじゃないかって思う方もいらっしゃるかと思いますが,家でそもそも勉強できないという風な環境だったりですね。
後は時間の貧困と言いますか。さっき申し上げたように本当にお母さん達は働いてるんですよね。それもどういう仕事の仕方かというと,パートの仕事一個だとなかなか足りないので。色んなシフトの調整とかをされちゃうので。自分が働きたくても一個だけだと入れないですから,二つも三つもやるんですね。例えば,朝,子供を送り出してから一個目の仕事で9時から例えば5時ぐらいまで働いて。急いで戻ってきて夜ご飯の支度をして子供に食べさせて,ちょっと落ち着くとすぐ今度二つ目の仕事に行くわけですよ。居酒屋に行ったり,焼肉屋行ったり,コンビニ行ったり,もう一回スーパーのレジ打ちに行ったりとかして。進学するのにお金が掛かるってわかると,それに新聞配達足したりとかして,体を壊すようなお母さんも多いんですけれども。そういう中で本当にすごく働いていると。
夏休みも本当に1日も休まず。だからどこにも子供は行けないんですけれども,本当にずっと働いてるんですね。だから子供の勉強を見るとか面倒を見る余裕が本当にないんですよ。九九を聞いてあげると。何で中3で九九ができないかと言うと,家で親が「言ってごらん。」という時間がないからですよね。そういう風な中では,本当に親は勉強を見れないと。文部科学省さんが「早寝早起き朝ごはんをしている家庭の子は学力が高いから,ぜひお家で早寝早起き朝ごはんをしてください。」って言うんですけど,要は私たちからすると,早寝早起き朝ごはんをさせられる環境の子だから,お母さんも勉強を見てあげられるし,だから学力も高いんであって,早寝早起き朝ごはんができないお家の子をどうするかってことを考えないと,やれっていっても無理ですよねと思うんですけど,そういう状況です。
後は本当にそのね,お金がないです。子供の様子だけ見ると,全然この子は貧困とはわからない。後で見ていただきますけれども,一歩入ると本当にお金がなくて,食費が欠くくらいですかね。学習支援に来てる子に「どんな感じなの?」とか「どこらへんからちょっとおかしいと思った?」みたいに聞くと「そうですね。」とかって言って,「小学校の高学年ぐらいからですかね。」って言って。「友達ん家は結構外食するんだなぁと思って」って言って。外食って言っても別にねフランス料理食べるわけではないですよ。マクドナルドとかファストフードとかああいうね,ファミリーレストランとかもなかなか行かないわけですよ。あと月の後半になると,やたら「もやし」の出現率が多くなるんですよみたいな。お肉とか高いから買わないわけですよね。そういう風なことなので,本当に教育にわずかな投資ができないんですよね。じゃあ家で勉強すればいいじゃないかと言っても,1000円~2000円の問題集とか参考書を買うのにちょっと勇気がいると。お家が結構多いです。もちろんお家にパソコンとか,ネット回線とか繋がってないので,動画を見ればいいじゃないかと言っても動画を見れないんですよね。一応スマホは持ってますけど,格安スマホなので動画なんか見ようものならすぐ止まっちゃうから。やっぱり見れない駄目だという風になっちゃう,というようなところです。
本当に・・・?・・・ですし,「あぁ」と思ったのが,仙台で教えていた子で。1月過ぎれば過去問を解くのが一番良くって。過去問の問題集ってこんなに分厚くても仙台あたりだと900円ぐらいなので,コピーしてやるより全然いいんですよ。一生懸命コピーしているので,「これコピーするよりもその時間もったいないから,900円だからお年玉で人生最大の投資だと思って買いなよ。」って言ったら,その子が「えぇ?」って,「お年玉もらったけど,もう私立の入学資料で使っちゃったからないんだよね。」っていわれて,自分のお年玉で今後の受験料を払うと,いう風なお家だったりとかするので,本当に大変です。ウチの学習会でも自分たちでやっている学習会で,高校受験をするとなるとやっぱりそれなりの問題集・参考書が必要になるので,できるだけ買ってもらうようにするんですけど,5教科揃えるとやっぱり7~8000円するんですよね。なので,払える時でいいですよとか,一回で難しかったらば分割していただいてもかまいませんよと言うと,やっぱり年に何人かは本当に,3回ぐらいに分割して,3月までに払い終わるとか,そういうお家があるんですけども,本当にそれぐらいこう大変だったりとかします。【図14参照】

で,いよいよ最後の。子供の貧困のことでいくと,もう一つですね,教育支援って。そうは言っても勉強だけ教えてもとか,そんなお腹空いてるんだったらご飯食べさせる方が先じゃないかという風なことを思われる方もいると思うんですけども,やっぱりね,学習支援をしてみて私たちすごくいろんな・・・?・・・があるんだなと思ってですね。一つは本当に学力が上がっていくんですよ。マンツーマンでね,ボランティアとか社会人,大学生が教えるので。もちろん学力が上がって行って,高校進学率は,本当にウチも,今までもう8年やっているので3000人くらいは行ってるかもしれない。とにかく100%皆行ってもらうという風なことでやっています。なんですけど,違う効果がすごくあるなと思っていて,ソーシャルスキルの獲得ですよね。何かというと要は非常にさっきもいったように孤立した,ちっちゃい世界にいるので,実は普通にできることが全然できないんですよ。例えば,大人と喋るっていうことが最初全くできない子がいます。学習会に来て挨拶しないような子はいっぱいいて,挨拶しなきゃダメだよと言うと頭下げたりとかっていうのは,それはね,普通の子でも多いんですけど。例えば2時間学習会して,2時間床に座って「今日勉強を教えてくれる渡辺です。」とかって言って「今日は何する?」とかって言ってもずっと喋らない。「勉強道具持って来た?」って言っても,ごそごそって黙って出してちょっとやり始めるけどみたいな感じで全然喋らないので,発達障害でいくと「かん緘もく黙」「場面緘黙」とかって言って,お話できない障害があるので,これはもしかしたらそうじゃないかと後で色々相談するんですけど。だんだんそうは言っても次回も来るわけですよね。そうすると今度は一言くらいずつ喋るようになるんです。3回目ぐらいになるとちょっと喋って「もうすぐ試験だからこの勉強やりたいです。」とか言い始めて,半年ぐらいになるとすごくたくさん喋って,学校でこれがあったあれがあったみたいな何て言うんですけど。何でかって言うと,この子は知らない人と喋ったことがなかったんですよね。中学生になって知らない大人と会った時にどうしたらいいかわからなくて,多分黙ってたと。いう風なところで,そういうところです。
例えば母子家庭でいくと,ひとり親家庭がやっぱり一番多いんですけど。例えば大人の男の人と喋る機会というのがすごく欠落している可能性が高いんですよね。でも,いざ社会に出た時に仕事しようっていったら,大人の男の人と喋らなきゃいけないじゃないですか。そういう意味ではウチの学習会に来ている男子の大学生とか社会人のボランティアのおじさんの方とかが話をして,慣れておくって凄く実は重要なスキルなんです。そういうことが欠けたりとかですね,もう一つは本当にね,働くっていうことに対して非常に前向きになります。と言うか,学習会来るまでは本当に働くことを忌み嫌っているんですね。なぜかというと,自分が知ってる働く姿というのは,パートしているお母さんとかしかないから。仕事ってすごく大変で,行っても行ってもお金になんないし,疲れてもやらなきゃいけないしとか,ということで働きたくないんですよ。だから学習会に来た時にね,勉強のモチベーション保たせようと思って「将来何になりたいの?」とか「夢は何なの?」とかって聞いても,「夢なんかない。」「働きたくないし,高校なんか行きたくない。」みたいな子が結構いるんですよ。何故かっていうと,要は大人になったって働かなくちゃいけないから大変だと。でも学習会に来てボランティアから「自分はね,将来こういう仕事をしたくって。」って,「今こういう勉強してて。」みたいな風なことを聞くと「あーなんかそういう仕事もあるのか。」「パートの仕事だけじゃないんだな。」って初めてわかるんですよね。
社会人の方々と出張に行って帰って来て,お土産買って来てくれると。地方に行って「ちょっと行ったから皆にお土産買ってきたよ。」とお菓子でも配ってくれようものなら,びっくりするわけですよね。仕事なのに旅行に行けるんだな。自分は夏休みどんなに旅行に行きたく思っても,絶対行けないのに。仕事で旅行に行けるんだったら,だったら仕事してもいいんじゃないかと思って,ちょっと仕事しようと思うとか。本当にそういうきっかけなんですよね。
今企業の方にお願いをして,職場見学とか連れてってもらうんですよ。そうするとこんな綺麗なオフィスで,こんな所で働いてる人いるんだと思って。この会社入るためにはどうすればいいんですか?と思うわけですよね。それを作るっていうことがすごく大きくなる。
最後本当,社会に失望されているので,本当にがっかりしちゃっているんですけれども,そういう子たちが学習会に来て,いろんな刺激を受けて,成績も上がっていくし,将来何でもできるし。場所によってはご飯を食べさせてくれるし,ということで,社会ってこうやって困っている人たちをちゃんと助けてくれて,こういう風に回っているんだと。皆に応援してもらえるんだと思うと,すごくお父さんもお母さんもお子さんも前向きになりますし,本当にその,子供達は自分も将来大学に行って今度は自分が助ける番としてボランティアで勉強を教えに行きますとか,そういうようなことを言うようになります。それがすごくいいなと思います。【図15及び16参照】

少し最後にキッズドアの活動についてと言うことで,私たち具体的にどんなことをやっているかと言いますと,東京で始まった団体なのでやはり東京が多いのですけれども,今東京の色んな所でさせて頂いておりまして,行政からの委託の事業もありますし,本当に自分たちで行ってやっているところもあります。
本当に,足立区では鳥居会長の学校を貸していただいて,居場所という風な所で週に4日も,子供達を集めて軽食出したり,勉強を教えたりということをさせて頂いております。そんな風なことをしておりますし,震災で東北の支援というのも始めたので仙台にも今事務所がありまして,仙台と南三陸町というので学習支援をしております。【図17参照】

この少し持ってきたのがですね。ちょっと行政の事業というのが,なかなかこういうところに出せないので,自分たちがやっているタダゼミという活動なんですけども。中学3年生の学習支援という風なところでは,勉強を教えています。
本当に,例えば東京都でいくと中学生の通塾率って69%なんですけれども,実はそれ以外,私立に通っている子は16%いますから85%は塾に行っているんですよね。そういう中で本当に塾にいけないという風な子があって,さっきもいったように塾に行かないとなかなか実力がつかないので高校に行けないという風な子の支援をしています。
【図18~20参照】

こんな形でですね,勉強を教えたりですとか,企業の会場をお借りして夏期講習とか冬期講習みたいなこともやったりとかですね。クリスマスパーティーとかていう風なことをやったり,子供たちも本当に喜んでくれています。
少しですね,実際の現場の動画というのを。本当にこれ,最後にお見せしたいんですけども。これは江戸川区でやっている学習会です。

【「すけっち-♯124江戸川区1655勉強cafe-」テレビ東京 平成28年9月2日放送を流す】

特定非営利活動法人キッズドア理事長 渡辺由美子 様
こんな感じでですね,楽しくと言いますか,最後の子が言っていたようにですね,子供達にとってはですね,勉強を教えてくれるというよりも応援してくれる人がいるというところがすごく嬉しいんですね。非常に孤立をしていて,何の体験もないので,そういったところで応援していただけるというのはすごく嬉しいこと。本当に今,足立区の子どもたちがロータリークラブさんのご支援で,12月もまたクリスマスコンサートやらせていただいて,クラシックコンサートを親子で聞きに行くなんてことはなかなかないので,それがすごくいいんですよね。あれは本当に子供もですけれども,お母さん達には本当に楽しみにされていて,そういうことですし,その他にもバーベキューに連れて行ったりとか,夏休みにちょっと旅行に,キャンプに連れて行ったりだとかっていう風なことが子供達にとってはすごく大きな力になる,なってます。なので,勉強も必要ですし,色んなことを皆さんでご支援いただいて子供達を思いっきり応援してあげて,これから元気になって行ければなあという風に思います。
すいませんちょっと長くなりましたが,私の話はこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

Q&A

東京南RC 阿部輝彦会員
 先ほどね,行政のことにはあまり触れなかったんですけれども,行政で実際には,渋谷区なんかが塾のクーポンを配布,そういうのがあるじゃないですか。そういうのは他にも色々,東京,どういう行政が。

特定非営利活動法人キッズドア理事長 渡辺由美子 様
 【図16参照】ここで行きますとですね,この赤い丸が付いている所が行政からの委託事業と言うことで,私たちが学習支援を行政から委託をさせていただいてやっている所です。黄色い所はですね,自分たちがお金を集めてやっている事業です。

東京南RC 阿部輝彦会員
 渋谷区なんかはそういうとこですか?

特定非営利活動法人キッズドア理事長 渡辺由美子 様
 そうです,そうです。はい,そういう感じです。なので,国もようやく色んな学習支援にお金を投じてくださるようにはなったんですけども,その先にと言いますか,なかなか国もお金が沢山あるわけではないのと,色んな事情があるので,例えば学習支援で勉強を教えるということに対してはご支援いただけるんですけども,その子達に色んな体験活動をするだとか,例えばやっぱお腹が空いているからちょっと食事を食べさせようだとか,そういう付加の事業というのは全然そのお金ではできないので,そこの部分は私たちが今本当にお金を集めてやっていたり,本当に皆さんのご協力をいただいてやっていて,12月のコンサートも本当に,色んな所の,足立区の学習会という風な所とか他の学習会の子たちも皆行かせていただくという風なところで,やっぱりそういう機会を作っていくことがすごく重要だなあと思っています。

東京南RC 阿部輝彦会員
 でも,これを見ると半分以下ですね。

特定非営利活動法人キッズドア理事長 渡辺由美子 様
 そうですね。まだまだだと思います。

東京国立白うめRC 成瀬大輔会員
 東京国立白うめロータリーの成瀬と申します。今日はありがとうございました。
お話伺っていて,ボランティアの学生さんとか社会人の方の力というのが非常に,人数も多いですし,大きいのかなという風に感じたんですけれども,人数をこれだけたくさんの方を集めた,集め方というかですね,どういう形で参加いただいているのかということと,やっぱり色んな方集まると思うんですけれども,その中で研修だったりとか,教えるスキル。需要的に働きかけをしながらとか,色々気をつけるところがたくさんあると思うんですけども,どういった研修とかですね,働きかけを,水準を保つようにされているのか,お願いします。

特定非営利活動法人キッズドア理事長 渡辺由美子 様
 ありがとうございます。そうですね,本当にボランティアさん,たくさんご協力いただいてありがたいですし,ウチでもまだまだとても十分足りているということではないので,ずっと集めてはいるんですけれども。どうやって集めているかというと,ウチは今のところはですね,本当にインターネットのウチのホームページですとか,ボランティアサイトみたいなところに情報を出しています。
あのですね,なかなかいきなり現場に来てボランティアするっていうのは,難しいだろうなと思うので,その説明会,ボランティアの説明会というのを頻繁にやっておりまして,そこでこういう授業でこういうボランティアをしていただける方を募集していますって言って,そこに来た方たちにご登録いただいて現場の方に行っていただくと,いう風なやり方です。
本当に研修がすごく重要で,特に私たちが見ているようなお子さんですと,教え方。例えば因数分解の教え方みたいなことをやるのではなくてですね,一つは子供たちの背景がどういう風なことでこういう状況になっているかということ。今日のお話のみたいなことをちゃんと理解してもらうという風なことがすごく重要で,そこをやっていただくのと,ボランティアのマナーとルールと言いますか。例えば子供とボランティアさんがイマドキですと皆例えばスマホを持っているので,メールアドレスを交換しようとかLINEを交換しようみたいにして直接こうやったりするのは非常に良くないので,そういうことはやめましょうだとか,そういう注意事項をしたりだとか,という風にしています。
本当にあとは学習会に入っていただいた後では,色んなスキルの研修みたいなのを本部の方でやって,そこに来ていただいたりということでやってます。

東京国立白うめRC 成瀬大輔会員
 ごめんなさい,追加ですいません。スーパーバイザーの方がやっぱりいて,その方が色々足りなかったら指導する感じ。

特定非営利活動法人キッズドア理事長 渡辺由美子 様
 そうですね,はい。なのでウチの学習会ですと,一つの学習会にウチの職員みたいな者が,必ず担当の職員がいて,それが見てます。あともう一つですね,それでいえば学習会の上でいくと学習会は例えば週に1回とか週に2回なんですけれども,学習会がない間の準備といいますか,これだけ成績の悪い子たちなので,どうやったら上がるか一人ずつ指導方法を立てたりだとか,保護者の方との連絡ですよね,放っとくと来なくなっちゃうんですよ。勉強はそんなに好きじゃないので。毎週火曜日の5時に来てくださいって連絡だけでは絶対に来なくなるので,毎週火曜日だったら前週の金曜日ぐらいに「来週の火曜日ありますけど,来ますか?」みたいな出欠確認一人ずつ丁寧に取るだとか,そういう風な運営面を割と丁寧にやる運営をしております。

東京昭島中央RC 佐々木稔郎会員
 子供はどのようにして募集しているんですか?

特定非営利活動法人キッズドア理事長 渡辺由美子 様
 はい,ありがとうございます。一つはですね,行政の委託の事業,行政と組むのは,これはすごくいいことだと思うんですけれども,行政の方では要はそういう方たちをちゃんと把握しているんですよね。例えば生活保護のご家庭だとか,ひとり親で児童扶養手当をもらっているという風なご家庭の方に直接ご案内をしてくださって,ウチでその方たちの受付をして,親子面談をして入ってもらうという風な形でやっています。
その他ですね,実施事業も含めて自分たちで募集するものはホームページに出したりだとか,やってるんですけれども,おかげさまで割ともう8年ぐらいやってるので,口コミとかお母さんのつながりで,お友達がお世話になってたんですけども,ウチも今年入試なのでとか,そんなことで。
主事業の良い所というのは,大事だなと思ってるのは,例えば日本だとたぶん貧困とは思われないと思うんですけど,お子さんが多いお家はかなり大変ですね。例えば子供が4人とか5人とかいると,普通その年収で言えば600万,700万あっても,やっぱり塾に行かせるのはすごく難しいから,こういうのがあるととても助かるという風に言われるんですけど,そういういわゆるその行政の仕切りでは低所得にかからないような,行政の支援にかからないような方たちも,ウチの学習会に来てもらえる。
あと例えばですね,離婚していないんだけど,別居してね,全然旦那が絶対にハンコを押してくれないけど。と言う人たちが実は一番大変で,手当が貰えないからなんですけど。そういう方たち来ていただいたりだとかしています。本当にその方達はネットで探して見つけてくださるだとか,口コミだとか。後は色んな相談機関に行った時にウチに紹介されて来るだとか,そんな感じでいらしていただいています。

講演の部,以上

東京赤坂RC 西澤民夫会員
当初の考え通り、学びの支援の方向でいきたい。時間的に厳しいが、できる限りのことをしていきたい。

東京赤坂RC 岩上義明会員
教育は重要なことだと思う。食料は、地域にフードバンクなどもあるので、本人のために身につける必要のある教育を支援するのがいいと思う。

東京グローバルRC 遠藤園子会員
発起人の1人として、最初に提案された学びの支援をまずはやってみて、それから少しずつ手を広げていったほうがいいと思う。財源のない中でやっていくには、学びの支援からスタートしたほうがいい。

東京中央RC 鳥居秀光会員
ここで何かをやるのは難しい。各地区のRCの奉仕委員長に呼びかけて、このような子供達がいる現状をお伝えして、貧困問題が我々RCが取り上げなくてはならない重要な課題ではないかと理解していただき、各クラブが個別に活動をしていくような形に持って行くのがいいと思う。ここで、この人数で、財源はどうするのかなど難しいと思うので、この場は勉強会という場所にして、より多くの方に現状を知っていただき各クラブで活動していただければいいと思う。キッズドアでも60カ所活動の場があって、そのうちの1つを我が中央RCで支援しているが他にまだ59カ所ある。それをそれぞれのRCが支援するだけでも意義があると思う。そういう形で勉強会を続けていき、各RCの自主的な行動を促していく、そういう会にしていけばいいと思う。

東京八王子東RC 橋本幸一会員
私は、情報をまず集めることをしたいと思っている。誰がどこでどんな活動をしているか、子供の貧困に対してどんな活動をしているかなど、情報を集めて情報のセンターみたいなことをしたらいいと思う。せっかく集まるのであれば、それぞれの地域の情報を集約してできるような、教育だけでなく食料の問題も合わせて、ここに聞いたらどこでどんな活動をしているか、どんな支援をしてほしいと思っているかなどが分かるような情報を集めるセンターを作った上で、我々がその中で何ができるかを考えていけばいいと思う。

東京芝RC 村上重俊研究会委員長
奉仕委研究委員会で貧困の問題という項目を作って、どんな活動をしているか情報をくださいと呼びかけているが、アクセス数が非常に少ない。せっかくいいホームページを作っても、活動が上げられてないのが現状。
1つの案として、東京田園調布RCの冨倉さんが支援している児童養護施設でどんな支援ができるかを検討してみてはどうか。就学前児童の支援をしてみてはどうか。議論しているだけでは進まない。
もう1つとして、キッズドアの渡辺さんと事前にお話した際、就学前児童の支援をしたいがアプローチが難しいとのお話だった。渡辺さんは内閣府の有識者会議のメンバーで発言力もあるので、行政と折り合いをつけてなにか手がかりがないか一緒に研究していきましょうという話もしている。もう少し学びの支援で行政へのアプローチや東京都内の児童養護施設に皆さんにうまく接触していただいて、週一回でも遊び相手になってあげるボランティアをやってみるのもいいことだと考えている。
やはりどこかで絞って具体的に始めてみて、可能かどうかを検討していきたい。
施設の子供に限らず、就学前の子供達と接するにはどうしたらいいのかというのをまずやってみたいと考えている。女性メンバーからもそのような話がでていた。渡辺さんが実際にやっているスキルアップの講師を呼んで貧しい子供達との接し方などを学びたいとも考えている。

東京赤坂RC 岩上義明会員
法人会との連携は、今麻布法人会の会長をしているが、みなさんに声を掛けているが具体的にはまだ進んでない。事業委員会等で港区民もいるので、進めていくのは可能かと思う。

東京昭島中央RC 佐々木稔郎会員
子供サポート委員会を作った。子供を中心に支援をしているが、その中には学習支援もある。こういうようなことを各RCで個々にやって、ネットワークを作っていって、それをまとめて、ここで元締めみたいなことができればいいと思う。

東京南RC 阿部輝彦会員
RCで横断的な活動がないので非常に興味を持って参加した。東京南RCで何十年もやっているが、楽しい親睦会的なことはやっていてもこのような勉強会はやったことがない。
個々のRCでやることは出来ると思う。ただせっかく横断的に立ち上げてやることが有意義である。

東京芝RC 村上重俊研究会委員長
南RCのような大きなクラブでこの問題について卓話をやらせてほしい。大きなクラブで理解を示していただければ、このようなプロジェクトは進む。日本にも貧困があるということをより多くの人に知ってもらう事が大切。貧困の連鎖を絶つ、ということでいろんなロータリークラブで卓話をして広げていきたい。

東京中央RC 八幡恵介会員
同じような経験があり、卓話の出前をやっていた。知名度が上がって、それが広まってきて、セミナーには人数が集まるようになってきた。やはり卓話は重要。ぜひ卓話をやったらいいと思う。
橋本さんが仰る情報を集めることも重要。そして、その情報をみんなで共有するのも大事である。情報は集めるだけでなく使ってこそ意味がある。橋本さんと鳥居さんの意見を合わせて、集まった情報をシェアして鳥居さんの仰るように1つのクラブが1つの施設を支援すれば、国内だけでも90もクラブがあるので十分支援できると思う。

東京芝RC 村上重俊研究会委員長
組織体制について
委員長は発起人である村上重俊とする。事務局は当事務所の事務局で行う。
副委員長は、橋本氏、鳥居氏、岩上氏、湯川氏と遠藤さん。
今後の支援体制については、橋本氏から食料支援も行おうという意見をいただいているが、2つを行うのは難しいと思う。ある程度優先順位をつけていきたく、皆さんの意見をお聞きしたい。

東京赤坂RC 岩上義明会員
米山奨学金の使途についても提議したが、米山奨学金の使い道が妥当であるかということを提案したほうがいいと思う。

東京芝RC 村上重俊研究会委員長
米山奨学金を見直したらどうかと言ったが、一喝された。この問題を掘り起こすと、我々の行動が潰されそうになるような険悪な雰囲気になりそうである。初めの提案は地区の奉仕研究委員会でこのようなチームを作って欲しいと提案した。拒否をされたので、このような研究会を立ち上げた。ある程度人数が集まると影響力がでると思っているので、より多くの方々に広めていただき、ご参加いただきたい。

東京芝RC 前田久徳会員
ここで具体的になにかをするというのはなかなか厳しいと思うので、個々のクラブに戻って、個々のクラブで動いて行くというのを中心になっていかざるを得ないのかと思っている。キッズドアも都内で半分くらいでしか活動できていないので、そういったことを中心に支援を含めて考えていけたらいいと思う。

東京井の頭RC 安藤久枝会員
私のクラブでは三鷹の養護施設に支援はしている。後続的になにかはしていないので、子供との繋がりができたらいいかなと思っている。昔は施設のお祭りに参加したりして支援していたが、今は年間にいくらという金銭的な支援しかしていない。クラブの中でも、事情がある子供たちなので接触は難しくてよくない、という話もでている。
三鷹では今、貧困が問題になっている。いろいろ動いていて、食事を提供するボランティアや勉強を教えるボランティアなどがあるが、規模は小さい。

東京芝RC 村上重俊研究会委員長
直接接するほうが子供達にはいいと思う。接し方などは施設の方から教えてもらって、接するべき。接触の仕方が問題。虐待を受けている子供たちはとくに難しい。プライバシーの問題もある。そういう子供たちとの接し方などの経験がある人に話を聞いていきたい。

東京城南RC 森家芳江会員
うちのクラブでは4~5年前にキッズドアにも年間の奉仕として支援をしたことがある。現在は、広尾の養護施設に支援をしている。クリスマスにもプレゼントを持って行く予定。その施設の方のお話を聞くとはできると思う。

東京芝RC 村上重俊研究会委員長
どこかの施設の運営者や実務者に学びの支援ができるか話を聞いてみたい。遊び相手だけでもいいのか。ヘフマンの実験では、定期的に遊び相手になっていただけで就学前教育になって、その子たちが、自分達で解決しようとする良い結果が出ている。そういうきっかけを与えられたらいいと思っている。
うちのクラブではこういう活動をやっているということがあればぜひ教えていただきたい。

東京芝RC 松村芳樹会員
貧困についてまだ半信半疑で、先進国貧困、コンプレックス貧困という現代版貧困をもっと勉強して、我々が得意なところ、貧窮度が高いところでアプローチしていきたいと思う。

東京芝RC村上重俊研究会委員長
「縮小日本の衝撃」という本がお薦め。豊島区が大変なことになるという内容でクローズアップ現代の取材班が出した本。このままでは大変だということが実感できる。

東京城南RC 森家芳江会員
石破茂氏の話を聞いたが、世界の主要都市の中で一番危険度が高いのが東京との話だった。2つ理由があり、1つは首都直下型地震の恐れがあること。もう1つはあまりにも急激な人口減少。人口構成が逆ピラミッドになり大変な深刻な問題だということだった。飛躍するが教育で学力を上げないといけないと思った。

【次回平成30年1月23日(火)午後3時~5時第2750地区ガバナー事務所】