奉仕のノウハウ

 

誤った奉仕・寄付はかえって害になる

米国全土に公立図書館を作ったことで知られる、慈善活動家の代表格と言われるアンドリュー・カーネギーは、著書『富の福音』の中でこの事を強調しています。ビル・ゲイツしかりです。



害になるって、どんなケース?


1. 例えばアフリカの農村部で理由もなく作物をばらまいたら、農民の自助努力に水を差してしまいます。依存した方が得となってしまうような援助は有害です。自活できるようにするための援助が基本ですから。

2. 東日本大震災の時も問題になりましたが、不公平な分配は人々の間に憎しみすら呼びこんでしまいます。以前は仲良かった村に大軋轢が・・・という事例は数多くあります。

3. 上から目線は“受け手”の心を傷つけます。
女優で歌手の松島トモ子さんは友人のロータリアンですが、彼女はホームレスの研究に熱心で日比谷公園のホームレスの人たちと交流し、次いでニューヨークのホームレスの事情を調べに行っています。ホームレスの人たちに無料で衣服を配布するミッドナイトランというトレーラーに乗り込むと、きこう注意されたそうです。

「服をあげると言ってはいけない、服を選んで貰う、サイズや色を選んで貰うと言うように」さすがボランティア先進国のアメリカです。

ソーシャルフィクションで豊かな発想 ― ユヌス氏


貧困層相手のグラミン銀行の創設者であり、ノーベル平和賞受賞者であるムハマド・ユヌス氏を迎えて「ソーシャルビジネスフォーラムアジア2014」のシンポジウムが開催された。


ユヌス氏が始めた社会的課題をビジネスの手法を用いて解決に導く事業―ソーシャルビジネスーは今や全世界に広がっている。


グラミン方式のビジネスは農村部での携帯電話サービス、再生可能エネルギーの供給、栄養強化のためのヨーグルトビジネス、服を通しての貧窮対策(グラミン・ユニクロ)など非常に多岐にわたっている。


ユヌス氏による講演も素晴らしかったが、びっくりしたのはジャーナリストの池上彰氏との対談のときのこと。



「世界中でアイディア豊かにソーシャルビジネスを展開されていますが、発想のもとはなんでしょう」という池上氏の問いに対して、「ソーシャルフィクションからです」と答えた。サイエンスフィクション(SF)が創造力豊かに未来を描く、そこからアイディアを貰えるように、未来の社会を描くソーシャルフィクションからアイディアを貰うとのこと。吃驚した。ソーシャルフィクションという言葉は初めて聞いた。未来を描いているのはユヌス氏自身かもしれない。

また池上氏が「なぜそうお元気なのですか(ユヌス氏は74歳)?」と聞くと、「ソーシャルビジネスの基本は『joy-よろこび』です。ビジネスでお金を儲けるのは楽しいけれど、ビジネスで人をハッピーにすることができればこちらはスーパーハッピーになれます」がお答え。


会場はハリウッド大学院大学の講堂。同大学もユヌス氏、およびユヌス氏の日本での窓口である九州大学ユヌス椎木ビジネス研究センターと協力関係を結んだ旨の発表があった。


2014年、7月17日榊原節子のブログより

「知らない人にも思い切ってコンタクトする」


ヒュー・エバンス さんを御存知だろうか。オーストラリア人なのだが、彼は14歳の時にフィリピンでスラム生活を体験する。そこにはごみの山をリサイクルしてお金にする少年たちがいた。7人のフィリピン人家族とスラムでテント生活をすることでエバンス氏の人生観は変わった。何で生まれて来る国によってかくも生活が異なるのだろうかと、彼は考えた。


その結果、母国オーストラリアで、若者によって運営される貧困者支援団体「Oaktree Foundation」を創設することになる。2004年、卓越した若者を称える「ヤング・オーストラリアン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれる。


現在彼がCEOを務める非営利組織「Global Poverty Project」は、貧困と飢餓の緩和を支援している。ロータリーが撲滅運動を行っているポリオに関しても、オンラインでの署名活動を通じて世界のリーダーに参加を呼びかけ、2011年10月28日にはオーストラリアでポリオ撲滅コンサートを開催した。ユニセフ、CDC,WHO等との協調運動も展開している。


彼の原点は14歳のときの体験にある。「もし仮に自分がその立場だったら」という思いに突き動かされている。だから知らない人にも、世界のリーダーにも参加を呼びかける勇気とエネルギーが生まれるのだろう。

「NPOはもっと戦略的に」


こんなタイトルのブログ記事を書いたのは2009年、8年前のことになる。しかし、今日でも状況はあまり変わっていないように思える──

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NPO活動のパイオニア的存在であり、NPO法の制定にも深く係わった田中尚輝さんの話を聞いた。英米に比べて日本のNPOは組織として弱体、強力なリーダーに欠け、お互いに足の引っ張り合いさえしていると田中氏は言う。


海外の例で言えば、例えば米国のAARP(米国退職者協会―会員数3800万人)などはまさに大企業に匹敵する規模を誇り、トップは5000万円もの年収を貰っている由。NPOで活躍すれば企業からヘッドハントされる。英国のNPOにしても、政府との協定のもと、政府を巻き込んだ強力な活動を展開している。このように海外NPOが戦略的な運動を展開しているのに比較して、日本のNPOの半分は年間予算500万円以下の零細組織がほとんどである


少しずつ状況は変わってきてはいるが、日本のNPOには「善い人が報酬なしに自分の信義に基づいて細々活動している」というイメージが強い。組織を大きくしようとすると、「納得できない人と一緒は嫌だ」とか「質が落ちる」と反対者が出る。


しかしそれでは大きな運動は展開できないと田中尚輝氏は言う。「全ての人に善性と悪性の両方があるのだから、その双方を考慮した運動を考えるべき」とする。更に、人間の他利主義的な面、利己主義的な面の双方が満足できるような活動にすることで、例えばサービスを低価ではあるが有料にすることで、より多くの人材を取り込むことができよう。役人が法案を通そうとするとき、いかに世論の形成をはかり(審議会などを使い)政治家を動かしウネリを作っていくかという話も披露された。


私も常々社会奉仕活動で「良いことだからやればいいんだ」的な発想に出会う。だが、善意は時に大きな害を及ぼす。「精神の純粋さを保つことと組織づくりの矛盾」にも直面する。自分の信じる運動に参加するからには、戦略的に、清濁併せ呑むような運動の展開を考え、「有能だが自分には“濁”に見える人」をも取り込むようにしないといけないのかもしれない。


超高齢社会を迎え、しかも財政状況がひっ迫した日本には「有償ボランティアの組織化」が必要だと長年主張しているのだが、なかなか実現の目途は立たない。


2009年、1月14日榊原節子のブログより

「何故寄付や社会貢献するのか」


日本の場合、内閣府の調査では例えばボランティアの参加理由として以下の項目があげられている。

日本のボランティアの参加理由

片や、欧米を含む世界でよく挙げられる理由は

  • 神の教え
  • 恵まれている者の特権であり、責任
  • 社会に役立つ
  • 自分が幸せになるため
  • 同情、隣人愛、連帯意識

などであろうか。

比較すると、日本の場合は家族が関係していると、職場の取り組みだったり、知人や同僚からの勧めという理由が特徴的なのだろうか。
元国連難民高等弁務官だった緒方貞子さんは人類としての連帯意識を強調する。

つまり、私たちは皆地球号に乗り合わせている。途上国が貧しさの問題で戦争になれば、途上国から原料や食料を輸入している先進国が困るでしょう。衛生状態が悪く、伝染病や新型肺炎が流行すれば、全世界にそれは広がる。

また先進国で作った商品を売る市場としても途上国は必要。だから互いに助け合わなければならないと彼女はいう。
社会貢献をする際のキーワードがエンパワーメント。援助をする方もされる方も自己実現に向けて一歩進む、元気になる、そんな形の貢献を模索したい。

平成27年度 市民の社会貢献活動に関する実態調査
https://www.npo-homepage.go.jp/toukei/shiminkouken-chousa/2015shiminkouken-chousa

NPO詐欺は誰の責任?


NPO詐欺とか、そうでなくても、寄付が一部行方不明になったり、あまりに援助の時期が遅れたり、時には寄付金が職員の飲み食いに消えたりする場合、それは誰の責任だろうか?当事者に一義的な責任があるのは当然として、寄付の出し手にも責任がある。

その団体がどんな団体で、どういうお金の使い方をするか。どう運営されていて、どう寄付者に報告しているか、チェックするのもまた寄付をする者の務め。これは日赤、ユニセフ等のような大きな団体に寄付する場合でも同じ。お金を出したからこれでよいことをしたのだから終わりという態度が日本人には多いとされる。このあたりは寄付の歴史の長い欧米諸国に一日の長があるようである。

日本人は


日本人は「慈善」に懐疑的で「偽善」という言葉をよく使う

出口治明氏はライフネット生命の創立者。彼はまた「歩く図書館」と言われる位博学で、現在の事象を歴史的視野から、そして世界を俯瞰することができる知識を持っている。その出口氏の書著「日本の未来を考えよう」の中で彼は日本人の特徴として、宗教に対する信用度の低さと同時に慈善団体に対する低さをあげる。

韓国とアメリカでは6割 ドイツでは7割以上の信用度があるにもかかわらず、日本ではたったの2割。

実際日本では寄付者の名前がマスコミに出るとすぐに「売名行為」という非難の声が上がる。欧米では有名人が匿名で寄付すると、寄付受け入れ団体が「有名人の名前を出すことで運動に弾みがつく」と主張し、その結果名前が表に出ることもあると聞くが、マスコミの取り上げ方は違うようだ。

脳内メカニズムに裏付けられた奉仕や寄付のノウハウ


奉仕活動にもマーケティングの考え方を応用すると、より多くの人から支持を得られる可能性があります。マーケティングも経済も、心理学として捉えることができます。そして心理≒脳内メカニズムを理解することで、より効果的なマーケティングの実践が可能になるはずです。


最近は脳の研究もすすみ、人の心理と行動のメカニズムもわかってきています。寄付行動における脳内メカニズムについても、研究がされています。


ご参考までに、寄付行動に関する研究をご紹介致します。
苧坂直行編、「社会脳シリーズ5 報酬を期待する脳 ニューロエコノミクスの新展開」、pp39-48


この研究結果より、以下3つの施策は効果を期待できると考えています。

  1. 活動に対する共感を生むストーリーを作り、認知、理解、好感度を高めること
  2. 寄付金額を自分で決定(複数選択肢から選択)できるようにすること
  3. 目標金額と集まっている金額の差を可視化すること
※なぜそれだけの金額が必要なのかという共感できるストーリーとセットで


金銭の提供だけでなく、サービス(時間)や物品の提供についても同様の考え方が適用できると考えます。


脳内メカニズムに裏付けられた寄付や奉仕のノウハウの記事は東京渋谷ロータリークラブ藤田会員よりの寄稿

障害〈児〉者を対象とした具体的な活動の提案について


多摩中グループ協議会資料として東京国分寺ロータリークラブ次期幹事であり、社会福祉法人けやきの社の鳥居尚之氏作成の資料をご同意を受けて転載させていただきます。

委員長 榊原節子 東京恵比寿RC


副委員長 山田 和之 東京中央RC


副委員長 澤田 尚史 東京神宮RC


委員 福井 衞 東京武蔵府中RC


委員 木村眞 東京恵比寿RC


委員 森家芳江 東京城南RC


委員 八幡 惠介 東京中央RC


委員 舘 和博 東京中央RC


委員 山下 雅弘 東京日野RC


委員 塩沢 仁志 東京愛宕RC


アドバイザー 森田光一 東京大森RC


奉仕研究委員会