新たな提案

 

平成29年3月22日

国際ロータリー第2750地区
ガバナー 大槻 哲也 様

国際ロータリー第2750地区 千代田グループ
                 ガバナー補佐 西澤 民夫
東京南ロータリー会長 山内豊功
東京芝ロータリー会長 村上重俊
東京新橋ロータリー会長 長尾正平
東京赤坂ロータリー会長 岩上義明
東京みなとロータリー会長 吉田茂
東京レインボーロータリー会長 大川博通
東京麻布ロータリー会長 水野勝広
東京グローバルロータリー会長 川西太郎
東京サンライズ汐留ロータリー会長 湯川愛里

貧困の連鎖対策研究チーム設置の提言
(対象者-児童養護施設入居者)

I. 提言内容

日本の将来を揺るがす、貧困の連鎖を断ち切るために、その原因と解決策を探る研究チームを設置することを提言します。

II.提言理由

1.低所得者の増加による貧困児童の増加

国税庁の統計によれば、平成26年度の全給与所得者に占める年収300万円以下の人口割合は40.9%でした。すなわち日本の労働人口約6500万人の約4割が相対的低所得者であり、この割合は増加傾向にあると予測されています。
この所帯で暮らしている児童数は、2012年当時で300万人を超え、貧困率は16.3%に達し、約6人に一人が貧困状態にあるとされています。

2.経済の階層化による貧困の世代的再生産

経済格差から生じる貧困所帯は、子供期の貧困をもたらし、その影響は若者期にも継続的影響を与え、貧困の世代的再生産を生乱すことになります。(湯澤直美著;貧困の世代的再生産と子育て参照)

3.子供への教育機会の確保こそ貧困からの脱出への道

貧困所帯の子供は、全所帯と比較して進学率が低く、中学や高校卒業時に就職したり、学校を中退してしまったりする割合が高くなっています。
子供に教育機会を確保することが出来れば、進学率の向上が期待できます。しかし、日本の子供・家族向けの支出はGDPの0.7%と国際的に見て非常に低い一方で、高齢者向け支出は8%と一般的基準であり、国から支出されるお金の不足は決定的です。(児童養護施設の現状参照)

4.貧困の連鎖の象徴である児童養護施設、乳児院の現状

日本には、児童養護施設が589カ所(入居者29,399人)、乳児院130カ所(入居者3,000人)が設置されていますが、入居理由の第一位は親の虐待、第二位は親の貧困です。
そして、中学卒業を迎えて退所する者もいて、高校に進学しても20%が中退し、施設からの退去を強いられます。これらの子供は貧困の連鎖を承継することになります。
また、奨学金制度の恩恵を受けて大学に進学しても20%が中退しています。 中退の理由は、大学への奨学金が入学一時金(50万円から70万円)だけで、その後に給付型奨学金を受けられないために、アルバイトで住居費や学費を確保することが困難だからではないかと推測されます。

5.ロータリークラブの児童養護施設・乳児院入居者のための支援活動の必要性

少子高齢化が加速度的に進行するなかで、将来の日本を担う若者への公的支援が不足していることは明らかです。
また、子供の貧困の解決には学力支援や経済的支援だけでは不十分であり、学習意欲や自制心・社会性といった学力以外の能力を『被認知能力』と呼びますが、貧困対策を行う上では、子供の被認知能力を向上させることが決定的に重要になります。
子供の被認知能力を高めるには原体験が欠かせません。貧困家庭で育つと周りに大学卒業者が少なく、勉強に励んだことでどのような職が得られるのか、具体的なイメージを持てない子供が少なくありません。幼少期に職業へのあこがれを持たせるといった教育が必要です。
貧困家庭では正常な生活習慣や価値観・社会性など自立する能力を身につけることは困難で、その結果、子供達は学習意欲が湧かずに貧困の連鎖を生むことになります。よって企業は、超高齢化社会を迎えた日本における貴重な労働力資源となる、貧困家庭の子供達に社会体験を含めた積極的支援を行うべきであると指摘されています。(小林庸平著:子供の貧困、損失は43兆円、企業は踏み込んだ支援を-日経ビジネス2017年1月16日)
かねてより貧困の連鎖は、日本社会崩壊の大きな要因になり得ると指摘されており、豊富な人材に恵まれた日本のロータリーは、この問題に正面から取り組んで支援方法を研究のうえ、早急に、出来る範囲で経済的・精神的支援を実行すべきであり、それを行うに足る能力を有する有力な団体であります。
また、この課題に取り組むことは、日本のロータリアンのロータリークラブ活動に対するモチベーションを高めるとともに、ロータリークラブ活動の公共性についての認知度を著しく向上させるものであり、会員増強にも寄与する可能性があると考えます。
全ての貧困所帯児童を救済の対象にすることは困難ですが、せめて児童養護施設の入居者を対象に「貧困の連鎖対策研究チーム」を国際ロータリー第2750地区に設置されるよう提案する次第です。

大槻ガバナー、西澤ガバナー補佐のご同意を得てこの文章を掲載させていただきました.

委員長 榊原節子 東京恵比寿RC


副委員長 福井衞 東京武蔵府中RC


委員 舘和博 東京中央RC


委員 森田光一 東京大森RC


委員 木村眞 東京恵比寿RC


委員 森家芳江 東京城南RC


委員 Kristina Sayama Rotary E-Club of Pago Bay Guam


奉仕研究委員会